睡眠覚醒リズム障害

概日リズム睡眠障害とは

昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないため、1日の中で社会的に要求される、あるいは自ら望む時間帯に睡眠をとることができず、活動に困難をきたすような睡眠障害を概日リズム睡眠障害といいます。

飛行機で海外に行ったときにはしばらくは昼間に眠く、夜になると眠れないことは経験された方も多いと思います。これは人工的な昼夜のサイクルと体内時計のリズムの不一致ですが、普段通りの生活をしていてもいつの間にか昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わなくなって生活に支障をきたすようになる場合があり、以下のようなタイプに分類されます。

交代勤務による睡眠障害

勤務時間帯が変化(夜勤と日勤)することで体内時計と勤務スケジュールが合わなくなる。

睡眠相後退症候群

明け方近くまで寝つけず、いったん眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥る。

睡眠相前進症候群

夕方から眠くなり、起きていられなくなり早朝に目が覚めてしまう。

非24時間睡眠覚醒症候群

寝つく時間、起きる時間が毎日1~2時間ずつ遅れていく。

不規則型睡眠覚醒パターン

睡眠と覚醒の出現が昼夜を問わず不規則になる。

 

睡眠相後退症候群

社会的に望ましい時刻に入眠することが慢性的に困難であり、多くの場合午前3時~6時の朝方になってやっと寝付くことができ、12時過ぎ(午後)になってやっと目が覚める状態を睡眠相後退症候群と言います。この症状は思春期に出現する人が多いようです。

大事なスケジュールがある時でも決められた時刻に起床することができず、なんとか無理をして起床しても、午前中は眠気や頭痛・頭重感・食欲不振・易疲労感などの身体的不調のために勉学や仕事を行うことが困難な状態になり、社会生活に支障が現れます。

診断は問診と毎日の睡眠を記録する睡眠日誌を用いることで入眠困難と起床困難が慢性的に続いているかどうかを確認する事でおこないます。

 治療については睡眠日誌を用いて毎日の睡眠を自己管理することがまず必要です。その上で高照度光療法(朝に強い光を浴びる方法)や時間療法(入眠する時間を少しずつ早める)などの治療が行われます。

睡眠相後退症候群を予防するには規則正しい生活や就寝前の刺激の回避(パソコンやスマートフォンを終了する時間を決める)などが重要です。

 

非24時間睡眠覚醒症候群

非24時間睡眠覚醒症候群は、就寝時刻と起床時刻が毎日一定時間遅れていく睡眠・覚醒リズム障害の一型です。一定の時刻に入眠し起床することが難しく、寝付く時刻が毎日30~60分ずつ遅れていきます。そのため、夜間に眠れている時期と昼と夜とが逆転して昼間に眠ってしまう時期とが交互に出現します。このため、夜間の不眠と日中の過度の眠気、全身倦怠感により社会生活に支障をきたす時期が周期的に出現するのが特徴です。寝付く時刻と覚醒する時刻が一定しないため、通常の社会生活が困難となります。

本症候群発症後にうつ状態を呈する場合もあります。性差については男性の方が多く、発症年齢については思春期から青年期が好発年齢であると考えられています。治療としては、朝の高照度光療法、または夜のメラトニン作動薬投与などで生体リズムの位相を前進させる方法が有効と言われています。

 

交代勤務による睡眠障害

交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁に変化することにより、慢性の不眠症と時差ボケのような精神・身体機能の不調が現れやすいと言われています。

症状と背景

時差ボケというのは海外の旅先から帰ったときに体内時計と生活時間のずれた生活をしたために眠れなくなり、頭がぼんやりとして集中力をなくし動悸や吐気、冷汗まで出て変な時間帯に眠くなるなどの症状が4-5日間続きます。交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁に変化すると時差ボケと同様の症状が起こる事があります。例えば、ガードマン、看護師、コンビニエンスストアの店員、24時間体制の工場勤務、長距離トラックの運転手などに起こりやすいと言われています。

対策

夜間勤務中に仮眠をとると作業能率の低下が少ないとも言われています。さらにカーテンなどで日中の遮光に十分注意すれば、日中の睡眠内容を改善させることも可能です。三交代勤務の場合には、日勤、準夜勤、深夜勤の順にシフトを組むと、生体リズムを同調させやすいことがわかっています。