なぜ私たちは眠るのか?

私たち人間には眠りは必要だということに異を唱える人はいないと思います。人間はずっと眠らずにいることはできません。人間はどれだけ眠らずに過ごすことができるか、ギネスブックには266時間という記録が出ています。動物実験では眠らせずにいると、2週間後には感染症などにかかって死んでしまいます。人間でも同様に体調不良や幻覚を訴えたり、明らかに心身に変調を来たします。

それではなぜ、私たちは眠るのか?最新の研究によって睡眠は脳と身体の健康を維持するために不可欠であることが少しずつ明らかになってきています。

脳を育て、守り、より良く活動させるためには適切な睡眠が必要です。よく「寝る子は育つ」といわれますが、生まれたばかりの赤ちゃんは1日の3分の2を眠っています。成長に伴って必要な睡眠時間は徐々に少なくなりますが、成長期の子どもたちには十分な睡眠時間が必要です。睡眠は昼間の活動で傷ついた脳を修復する働きがあることも報告されています。認知症の原因となる老廃物(アミロイドβ)が睡眠中に脳外に排出されやすくなっていることも報告されており、脳を守るためにも睡眠は重要であると考えられます。脳をよりよく活動させるためにも睡眠は重要です。慢性的な睡眠不足は「睡眠負債」とも言われ、集中力や判断力が落ちてミスや事故につながることが数多く報告されています。

また、睡眠不足は高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の危険性を高めることが明らかになっており、からだの健康を維持するためにもよい眠りを取ることが重要です。