認知症になりにくい生活とは?

認知症は加齢とともに誰にでもなり得る病気ですが、できればならないで暮らしたいと思っている方が多いと思います。残念ながら、「現在こうすれば認知症にならない」という方法はありませんが、最近の研究から「どうすれば認知症になりにくいか」ということは少しずつわかってきました。
 ポイントとしては、第一に運動をおこなうこと、第二に食事に気をつけること。第三に、社会的な活動に参加することです。高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドローム、そして運動不足は認知症の危険因子として考えられています。そして運動を行うことは認知症の発症に対して防御的な効果があることがいくつも報告されています。歩くことなど無理のない有酸素運動が良いとされており、現在全国でおこなわれている100歳体操なども第三のポイントの社会的な活動の機会にもなるため良いと思います。食事のポイントはたんぱく質をしっかり摂取することです。中年期までは肥満が健康に対する問題となることが多いですが、高齢期では筋肉量減少に関連した「フレイル」と呼ばれる状態の方が健康に対して問題となります。平均的な食事では1年間に1~2%筋肉量が減少すると言われているため筋肉の減少を抑えるために若い頃よりたんぱく質を意識した食事を取る必要があります。社会的な活動や知的活動も認知症の発症や進行の予防になると言われています。読書や楽器演奏など一人でできる活動、ゲームやカラオケなどの数人で行う活動、地域や趣味の友人と積極的にコミュニケーションをとることなどいろいろな活動が認知症に対して防御的な効果があると言われています。
上記のポイントは認知症発症の予防だけでなく、認知症になった方の進行を遅らせたり、その人らしい生活を続けることにも役立つはずです。すべての人が少しでも元気に過ごすために、運動、食事、社会的・知的活動に気をつけて過ごしていただければと思います。